[ Story No. 529 ]


小説ページ観覧回数ランキング

 少女は、憎々しいと言いたげな顔で、その少年をにらみつける。
「別に……。通り雨なんか降ってなかったよね?」
 その口調には、隠そうとしても隠し切れないトゲが目立つ。
「おまえ、馬鹿にしてるのか? ゴミの癖に」
 薄ら笑いを浮かべていた少年は、見る見る内に険しい顔つきに変わり、その年らしい高い声で、しかし少女よりもキツイ口調で罵った。
 いつも……、そうだ。
 少女は、いつもこの言葉で苛まれる。
 ――ゴミの癖に。

 もちろん少女がゴミであるはずもなく、それはただのあだ名に過ぎないのだが……。
 それでも、その言葉の一つ一つが、少女にとっては苦しみであり、また怒りをもたらす物であった。
「ねぇ……」
 少女の顔は恐怖で引きつり、出てくる言葉も震えているが、それでもゴミと罵った少年に聞き返す。
「一体……、どこが……ゴミ…なの…?」

(筆者 重力子 / 08/03/28(Fri) 00:10 )