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四方針守護士〜兵士と王女の物語〜【第一章】

4章 5頁 完結 「テキスト」

国王のお招きによりクロクラム国へとやって来た謎の少女エマル。
初めての地に緊張する中、彼女をもてなす一人目の相手がエマルの前に現れた、のだが……

作者. シロガマ さん


  連載No.000047 登録:2014/02/23 〜 更新:2014/03/02 (3 Res. 2014/02/27,)

第二話 『レ二―という男』



「……」
私は国王様に見送られ、『彼』と共に街へ通じる林の中を歩いていた。
(うーん……)
私がこの国へ来た理由は【一応】クロクラム国王の御招待。という事なのだけれど……
?・「……」
この人は私をもてなしてくれる守護士さん……の、はずよね? 
何も言わず、私の前をスタスタと歩く守護士の彼……彼はクロクラム城を出てから一向にに口を開こうとはしない。ただ黙って歩いているだけ。そんな状況がかれこれ一時間は続いている。

スタスタスタスタ……コツコツコツコツ……

二人の間には靴音だけが響く。――-―う〜〜ん。
とうとう沈黙に耐えられなくなった私は,意を決して彼の名を呼んでみる事にした。
「――――――――――――レ二―さん」
レ・「なんです?」
ついさっき出会ったばかりだと言うのに、何とも不機嫌そうな声。
「これからどこへ向かわれるんですか?」
レ・「……」
彼は鼻でため息をつくと突然立ち止まり、顔にかけたモノクルをクイッと持ち上げ私を見た。栗色の髪の毛にモノクル。白いローブが特徴的。年齢はおそらく15、6ぐらいだと思う。笑えば結構可愛い顔なのに、その目はずっと吊り上がったままである。
レ・「王宮を出る前にも説明しましたが、僕は何時の守護士ですか?」
「え? あ、はい、十二時です」
レ・「それが分かっていて、その僕がどうして管轄外の三時や六時、九時の方角へ進まなければならないのですか?」
カチンッ!
「す、すみません」
レ・「人に聞く前に、少しは考えたらどうです?」
カチンッ、カチンッ!
「すっ、すみまっ、せん」
――なるほど。私は城へ案内してくれた兵士の言葉を思い出した。

【しかしぃ、よりにも寄って『あの方』が最初の相手とは……】

そういう意味だったのね!!
とにかく私は笑顔を、少々歪んでしまった笑顔を彼に向けた。
「じ、じゃぁ言い方を変えます。これから十ニ時街へ行って何をするんですか?」
レ・「これからどうするかなど、僕は何も考えていませんよ」
「な、何もって!」
何ともサラリと応えた彼に私は目を丸くした。
レ・「大体忙しいというのに、身分の知れない貴女のおもりを最優先しろとは、国王も一体何を考えておられるのか……僕には理解出来ませんよ」
と、彼はうんざりした顔で私を見る。
「お、おもり? っおもりってなんですか!」
レ・「そもそも、この件はあの「ふしだら剣士」一人で十分可能な任務のはず。なぜ僕達まで巻き込まれなければならないのか」
私を無視して一人で延々と愚痴を続けている彼。
(なんて人なのっ!? なんで初対面の人にこうも言われなければならないの!?)
「あの、一応私を歓迎してくれるって聞いたのですが?」
レ・「あぁ、他の三人はどうだか知りませんけど、僕はそんな気などさらさらないですよ?」
ピキッ!
なっ、なっ、なんて嫌な性格ぅ!!
レ・「僕は適当に12時方面を歩きますので、付いて来るのだったら勝手にどうぞ? ――また、一人で街をフラつくのも結構です。まぁ僕について来たところで、貴女に僕の行動の意味が理解出来るとは思えませんがね」
プッツン―――とうとう私の中の何かが弾けた。
レ・「では――」
「待って!」
エマルは歩き出そうとしたレ二―の背中に待ったをかけた。彼は心底面倒臭そうに……
レ・「まだなにか?」 
「もう限界。貴方、何をそんなに一人になりたがっているんですか?」
レ・「一人?」
その言葉にレ二―は一瞬ピクッと反応し、再びエマルの方に顔を向けた。
レ・「僕は別に一人が好きなわけではありませんよ」
「貴方を見ていて、そうは思えないんですけど」
私はレ二―君を睨みつけた。向こうも私を睨みつけて来る。どうしていきなりこんな展開になってしまったのか……
レ・「……」
「……」
睨みあった二人の間を風が吹き抜けた。ざわざわと木の葉が舞う。
レ・「――――へぇ」
しばらく睨み合うと、レ二―君は少し、ほんの少しだけ口の端を吊り上げ、再び体をこちらに向けた。
レ・「僕の身分を知りながらそんな態度をとる人、守護士以外に久しぶりに会いました。結構気がお強いのですね」
「っ……」
レ・「それとも? 僕よりも身分が上……とか?」
「ごまかさないでください!」
レ・「ふふふっ―――そうですね。正確に言えば、僕が一人になりたいのではなく、周りのみなさんが僕を一人にするのですよ」
「?」
気のせいだろうか、一瞬だけ彼の顔色が曇ったような……
レ・「――僕の好きな事に他の人達が興味を示さない。それだけの事です」
「どういう事ですか?」
レ・「僕の趣味は魔術の研究……たしかに僕の下に就く兵士達も魔術は使いますが、それはあくまでも仕事の範囲内。僕の周りに、純粋に魔術を愛する人が居ないのですよ」
「……」
レ・「 僕が長い月日を掛け、初めて成功させた術をどんなに熱心に語ろうとも、普通の人には訳のわからない長話でしかない。その術の能力、その術を開発するのにどれだけ僕が苦労したのか、成功したその喜びがどれほどのモノか……誰も興味を持たないのです」
(この人……)
レ・「逆にそんな僕を異常な人間ととる人もいる。まぁ、確かに異常な執着心とは自分でも思いますけどね」
「……」
レ・「誰にも僕という人間を理解してもらえない。そう分かった時、僕はいつの間にか一人でいる事が多くなった。……趣味が合わない人と一緒にいたってお互いメリットなんてないですし、たしかに一人の方が集中も出来て楽ですからね」
「――なるほど」
レ・「っ! ――さきほど出会ったばかりの人に、僕は何をペラペラとっ……」
私の一言にレ二―君がハッとした。自分でも意外な事だったらしい、かなり驚いた顔をしている。
レ・「――とにかく、話はここまでです。僕は行きま――」

「つまり貴方は、【寂しん坊】で【甘えん坊】って事ですね?」

レ・「はぁ!?」
何とも言えない衝撃がレ二―君を襲ったらしい。彼の先ほどまでの根暗顔が一変した。
レ・「なっ、何を聞いていたのですか貴女は!!」
「あ、ようやく真顔じゃなくなりましたね」
レ・「ごまかさないで下さい!!」
「えへへっ、さっきと立場が逆になりました♪」 
レ・「っ……」 レ二―は言葉に詰まる。
「ダメですよ、理解されるのを待っているだけじゃあ。自分から分かってもらわないと」
私は彼に笑って見せた。
レ・「だからって、どうしろと……」
「じゃあ、行きましょう!」
私はレ二―君の腕を無理やり引っ張り、街の方へ歩き始めた。
レ・「え? ―――えっ!?」
「ですから、魔術の素晴らしさを分かってもらいにですよ!」
レ・「はぁ!? ちょっ、僕は別にそんなつもりは――」
「大丈夫です! 私に任せてください♪」
レ・「な、何なのですか貴女はぁ!」
エマルに手をとられ無理やり連れて行かれるレ二―。 ――とその時
レ・「っ……」
彼は何かに反応した様に目を細めた。

―――――――――――視線?

レ・「……」
周りに意識を集中してみたものの、何も感じない。
レ・(気のせい、だったのでしょうか?)
「何しているんですか! 早くいきますよ!?」
レ・「え、ちょっ、引っ張らないでくださいよ! ですから僕は!!」
二人は騒ぎながら林の奥へと歩いて行ったのだった。

・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・

≪…………≫
実はそんな二人を、木の上から見ている怪しい影が一つ。目を光らせていたのだった。

〜つづく〜

イラスト

「四方針守護士〜兵士と王女の物語〜【第一章】」エピソードリスト 4章 5頁 完結

[1章 第二話 『レ二―という男』]
[2章 第三話 『魔術の素晴らしさを!!』]
[3章 第四話 『奇跡の鳥』]
[4章 第五話 『処罰』]

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