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傑作Choice! No.2364 『 学生会館;1 』Artworks by. ヨヲさん

傑作イラスト

寂れた工場町の一角の焦げた外壁のあるレンガ造りの建物の前に一台の軽トラが停まった。
「目高のおじさーん、こんばんはー。元気にしてた?」
運転席から下りた咲子は野菜がどっさり盛られたコンテナを下ろしに荷台に回った。
レンガ建ての入り口の前で一斗缶の焚き火に身を屈めていた老人に、助手席から下りてきた梢は会釈した。
「ああ、咲ちゃん。いつもありがとう。
 おや、梢ちゃん、久しぶり。珍しいね。」
「今日ね、ちー姉ちゃんのお墓参りに行ったのよ。
 それでこず姉を送りがてら野菜も持って来たよ。」
老人はもう使えなくなった工場の中を改装し、身の置き所のない学生達に無償で提供していた。
老人は咲子達の養父の古い友人だ。
咲子は自分の畑で採れた規格外の野菜をしばしばこの学生会館に差し入れていた。
老人が建物の中に声を掛けると学生達がサッと数人出てきて台車に野菜を積み込み、咲子に何度も頭を下げて勝手口の方へ運び込んで行った。
「ここの子達はいつも腹ペコだね。
 早く寮に入れるといいね。」
学生会館に身を寄せる子達の理由は様々だ。
不意の戦火に巻き込まれ生活の場を失った者、一旗揚げようと故郷を飛び出して来た者、特に自分の能力を評価してもらいたくて軍幹部の目に付きやすい都会へ出たがる者が多くいた。
「ここから町の学校へ紹介状は書いてあげれるけど、受け入れてもらえるかは分からないからねぇ。
 設備の整った寮のある学校は競争率高いし、それ相応の能力がないとね。
 うちも軍や自治体からの僅かばかりの助成金と、咲ちゃんみたいな人達の温情で賄っていけてるだけだから、早く彼らをちゃんとした所へ送り出してやりたいよ。
 隣の工場への襲撃の煽りを食った外壁の焼け焦げの修復もままならんよ。
 隣は表立っては自動車の部品工場だったけど、私らは武器屋と呼んでたさ。」

  六条梢;相馬透の叔母。姉千草と妹咲子の三姉妹の次女。既婚者。

     ―*―*―*―*―

そとさんが先日のレスでおっしゃってた透君の叔母さんの名前はとのお言葉で、学戦作品が賑わい始めた頃に書きたかったお話を思い出し纏めてみました。
長女と三女の名を葉と花と考え、間は枝をイメージする名前をと、梢と付けました。
久々のお話作りが楽しくて長くなってしまったので2話に分け、残りは後日投稿したいと思います。
生徒以外の周りの人達の様子を書いてみたく、学戦タグの過去ログや本家サイトの設定をざっと見返してきたのですが、何か違う面がありましたらすみません。
そうした場所もあるのかなぐらいにスルーして頂けると助かります^^;
進行途中でアプレットフィットが広がって劇的に描きやすくなったのでありがたかったです^^
そとさん、ミミニャ〜さん、どうもありがとうございました!

Artworks by. ヨヲさん (2019年05月11日(土) 12:18)

推薦コメント:今にも動き出しそうな人物風景描写がとても素敵です

推薦日:2019/05/21

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