お絵かき掲示板Art.net
オリキャラclub!OCF
はぐパンさん 【帝都25区怪異譚】 短編「わすれもの」
イラスト「【帝都25区怪異譚】 短編「わすれもの」」

短編「わすれもの」

セシル中村さん企画「帝都25区怪異譚」参加作品です。
>>OCP014732
(15歳未満参加禁止)
テキスト版に下書きあげてましたが、こっちが本番です^^;;
支社縛りが緩和されたので、キャラを転属させました。

余談 うわーホント難しかった^^;;; これだけの絵を描くのが……。
イラスト慣れてないもんで、ほんとすみません……。
暇さんの泉雨警くんをお借りしました。
どこか間違ったりしてない事を祈ります!!

*注意 登録情報にない部分をかなり自由に創作しています(昔参加した小説シェァワールドのノリで^^;;)。
不都合があれば遠慮なくご一報ください。

──

Scene 1 「お前のようなブラコンが私に忠告できると思える事自体が世界の七不思議だ」

 外ではすさまじい雷雨が続いていたが、帝都25区の怪異対策部隊『蝙蝠』の泉 雨警(みなもと・うけい)は、それを子守唄にぐっすりと眠りこけていた。その夢の中、
「まあどうしたのその髪」
 と言いながら左側の髪をなでてきたのは雨警の母である。雨警の髪は左右非対称。怪異『電痛業界』との戦いで攻撃が髪に被弾、左側だけ短く刈り散らかされていたのだった。
「片方だけこんなになっちゃって」
「話したじゃないか、のびなくなってるって」
「また誰かと喧嘩したの? あんまり強くないのに、すぐにむきになるんだから」
「ちっ」
「警ちゃんはね、いつかうんと強くなる。そしたらお母さん、警ちゃんに守ってもらうの」
(なんだよ。子供の頃から同じ事ばっかり言って。そりゃ死んだ兄さんに比べりゃ体格は貧弱だけど、僕はもうじゅうぶん強いんだ)
そう言い返したかったが、母に『警ちゃんに守ってもらう』と言われたのが嬉しくて、口の端に笑みがうかぶ。
「このままでいいんだ。片方まで切ったら癖が強くて爆発しちゃうから」
「でもねぇ、なんかこっち側だけ寂しいわね。あ。そうだ。お母さんがこっちの耳につけるピアス作ってあげる。お母さん、それくらいしかやってあげられる事ないから……ごめんね、警ちゃん」
(謝るなよ……悪いのは僕なんだ)
 そう伝えたかったが、プライドが邪魔をして口にする事ができない。そうこうするうち、母の姿はふわふわとどこかえ消えて、霧にかすむどこかの踏切が見えてきた。
 霧の中から母の声が聞こえてくる。
『お留守番しててね。警ちゃんにあとでおいしいもの、作ってあげるから』
「いいよ、そんな事しないで。それより、そっちにいっちゃダメだ。怪異がひそんでいるかも──」
 その時、

「雨警くん、起きなよ」
「へ?」
 寝ぼけ眼を開くと、目の前にピアノソナタの楽譜があった。
 雨警を起こしたのは、城北支部から転属してきた威流崎 薫(いるさき・かおる)である。
 ここは怪異対策本部の資料室──雨警はその机につっぷして寝ていたのだ。
 窓の外はすさまじい雷雨。
(そうだ、怪異『月光』の研究をしていたんだ)
 怪異『月光』。それはグランドピアノとともに月夜の港町に出没し、セイレーンのような音の力で人々を恐怖のどん底に陥れている恐るべきピアニスト怪異である。ひとたびその音に魅了されれば、人は破滅へとまっしぐら。防ぐ手立ては見つかっていない。怪異が弾くソナタに秘密があるのではないかと思って、資料室で分厚いベートーベン全集を漁っていたのだ。
「もうみんな帰ったよ」
 雨警は心の中で舌打ちした。
 雨警は威流崎が苦手である。
 馬鹿にしようにも見下せる要素がない。
 この女に何か欠点はないものか。
 無言で上から下まで眺め回す。
 スタイル抜群で男にもてるわ頭は切れるわ、癪に障るところばかりである。
「そうやってさ……値踏みするような目で人の事見て、ほんとにもう……」
 威流崎は呆れたように、机の前の雨警を見下ろしながら腕を組んだ。その拍子に、スーツの下の胸がふわっともちあがる。雨警は眉をひそめ、
(こいつのこういう所が嫌いだ)
 その感情をモロに顔に出しつつ、
「何の用だ」
「『月光』の分析してるの?」
「ああ。いつ出くわすかわからんからな」
「それ、『月光』じゃなくて『情熱』だよ」
「なにっ」
 雨警はあわてて楽譜を確かめるも、もとより彼には楽譜は読めない(ドイツ語も読めない)。直感で『これに違いない』と思ったページを開いただけだ。挙句、わけのわからないオタマジャクシの連鎖に眠気を催してしまったというわけである。
「ふんっ。『月光』から始めるのは初心者すぎるからな。まずは『情熱』からウォーミングアップといった所だ」
 威流崎薫はほんのり笑みを浮かべると、そんな雨警の肩をぽん、とたたいた。
「帰りなよ、雨降ってるうちにさ」
「『月光』など、私の手にかかれば……」
「全力で逃げなさい」
「……」
「これ以上無謀な戦いで犠牲者を増やすわけにはいかないの。対抗策がわからないうちは」
 雨警は押し黙った。
 こういう時、ポンポン言葉が出てくれればいいのだが、彼はそこまで口達者ではない。約四秒後、
(お前のようなブラコンが私に忠告できると思える事自体が世界の七不思議だ)((威流崎はブラコンである))
 というセリフを思いついたが、いくらなんでも酷い言いような気がして黙っていた。
「すごい雨だな」
 間抜けなセリフとはわかってはいても、取り繕わずにはいられない。
「いいものあげる」
 威流崎はポケットからイヤープラグのようなものを取り出した。
「なんの真似だ」
「開発部の子が試作したもの。ピアノの音だけに一定のフィルターをかけるんだってさ」
「こんなものが何の役にたつ」
 手で払おうとすると、
「いいからもらっとけよ!」
 威流崎は雨警に横からがばと抱きつき、強引にそれを胸ポケットにねじこんだ。
「ご利益あるといいね。君はとにかく無謀なんだから」
 雨警は片眉をぐいとひそめたが、プラグをポケットに入れたまま立ち上がった。
「お前と話しても時間の無駄だ。だが好意は受け取っておく」
 それを見て威流崎は両手を腰にあててふっと笑った。
「早く帰りなよ」

 雨警は廊下に出ると、携帯で母を呼び出した。
「あら、どしたの警ちゃん」
「うん。今日は早く帰れそうなんだ」
「そうなの? じゃあ警ちゃんの好きなハンバーグ作っとくね」
「いいよ(いちいちそんな事しなくて)……。あ、そうだ、僕が作ってやるよ、麻婆豆腐。会社に社員が使える小さな台所があってさ。この間昼休みにふるまったらみんなおいしいおいしいって……」
「そうぉ? 警ちゃん、仕事で疲れてるんじゃない?」
「疲れてないって! じゃ買い物して帰るからさ。何か買ってくものある?」
「ネギ」
「わかった」

Scene 2 「ネギごときで私に勝ったと思うなよ」に続く^^;; >>009587

作者: はぐパンさん [作者検索]

No.009558 [編集/削除]

550 x 400 (453 kb)/??? /描画時間:3時間58分9秒 (3160工程) 2021年11月26日(金)

[帝都25区怪異譚] [勝手にコラボ] [小説] [短編「わすれもの」]

原作:暇さん はぐパン


スピカさん

うーん!おもしろい!

2021年11月05日(金) [No.009558-1 - 編集]
はぐパンさん

ありがとうございまふ!!
ぼちぼち更新して、新しい怪異も登場させる予定です!
この作品自体は15禁でもなんでもないので(笑) スピカさん読んでもだいじょうぶですね^^
よろしければ最後までおつきあいくださいまし……。

更新:2021年11月05日(金) [No.009558-2 - 編集]
はなぽんさん

読ませてもらいました!!面白いですーー!!次も楽しみにしてます(≧▽≦)絵もいいですね(^^♪

2021年11月06日(土) [No.009558-3 - 編集]
ひかるさん

ね…ネギ??
シリアスな風なのに2回目のタイトルにばかり目がいってしまうのですが…( ´艸`)

ピアスのエピソードが(*´ω`*)
お母さんの優しさがきちんと溢れてて微笑ましいです!

女性を描かれてる時にはあまり思ってなかったのですが、はぐパンさんの描かれる男性はJOJOっぽい感じの劇画風で渋いですね^^

完璧美人の威流崎さんに凡人とか言えるのは泉さん位かも、と!

2021年11月06日(土) [No.009558-4 - 編集]
さん

はぐパンさんこんにちは!コメント失礼しますー
雨警が男前に…!お美しい威流崎さんと並べていただけて嬉しいです!ありがとうございます〜!
またお話も興味深く拝読させていただきました。母との関係というかやりとりがかなり自分の想像していた雰囲気に近くてびっくりしました!すごい。雨警の性格は末っ子だからという解釈も個人的には新機軸で面白いです( ´ ▽ ` )!「癖が強くて爆発しちゃうから」ってセリフがなんだか妙に好きです笑
完全無欠の美女に対するものいいであるとか、タイトルとかのすげ〜上から目線な感じが自分の想像が完全再現されているようで楽しかったです(*゚▽゚*)
威流崎さんに少しお近づきできたような気がしてたいへんドキドキしております>_<はぐパンさんの視点から雨警のお話を紡いでいただけてとても光栄です(*'ω'*)続きもひっそり楽しみにしております〜!

2021年11月06日(土) [No.009558-5 - 編集]
はぐパンさん

みなさんコメントありがとうございまふ!

>いや〜お若い方に面白いなんて言っていただけると嬉しいですねー*^^*V(年寄り発言)。
年寄りにありがちな(本人以外はどうでもいい)うんちくは控え、読みやすさを心がけますので、はなぼんさん、次も是非、読んでくらはい。
ふんぬ! 私もまだまだァ……。あと腹筋30回ぢゃあぁああ(気合)

ひかるさん、実はシリアスにネギは欠かせないのですよ(新法則)。
>え、JOJO風?(ドッキィィィイ) またまたごJO談を〜^^ll
やっぱり好きが出ましたかね。
物語はまだまだJO盤。これからJOJOにJO走をつけて、JOー景描写なども加えてゆきたいれふ!

>……って、うわあああぁあああ 原作者様の降臨だぁぁぁぁあ
暇さんどうもこんにちは。雨警くんお借りしております^^;;;
いやいやヤバイ・笑
いやこれ本当、雨警はこんなんじゃないとか言われるんじゃないかとドキドキもので……^^;;;; よっぽど事前に確かめさせていただこうと思ったんですが……そんな事したらキャラシートや企画自体の意味が損なわれる思ったので、思い切り独自解釈でいかせていただきました。
雰囲気近かったですか……はーよかったぁぁああ(安堵の長い溜息)。

配属先が違ってたんですけど、なんかふいにブラコン威流崎とからませたくなったんですよ^^;;;
(私の脳内では)いい(凸凹)コンビなんじゃないかと・笑
これぞ勝手にコラボの醍醐味・笑 うわー^^;;
結構ハッキリ物言う子ですが、そういうやつなんだなと思っていただけると嬉しいです。
完結した暁には是非厳しい……いや、生ぬるい目で(笑)読んでやってください。

次回もがむばりまふ!(絵の方が心配ですが……^^ll)

2021年11月06日(土) [No.009558-6 - 編集]

URL:

拍手コメント 0/20 (候補から選択するか入力)

URL:



[No.009558通報]

お絵かき掲示板Art.net

・ 創作オリキャラ投稿&交流お絵かき掲示板【オリキャラclub! OCF】

無断転載は禁止です。 Unauthorized reproduction prohibited.

oekakiart.net内の画像・テキスト・内容などを著作者に断りなく転載・使用する事を固く禁じます。
投稿イラスト作品等の著作権は作者様ご本人にのみ帰属します。